みそブログ

みそブログ ~相棒とマラソン編~

多摩川で彼女とマラソンを頑張ってるサブスリーランナーのブログ。コンビニや漫画、たまにライフハックも。

挑むべくは飛騨の龍、臥龍桜の咲く先に・・・【レース後編】【飛騨高山ウルトラマラソン】

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★★★
 

最高到達点を越えた先に待っているのは、予想通りの下りだ。だってそうだろう、ここより高いところはもうないのだから。

 
心臓と太ももが限界に近かった中で、この下りは嬉しい。と、颯爽に下るもすぐその異変に気付く。
 
「この下り、角度がキツい・・・」
 
下り自体はこれから10kmも続くロングスパート。タイムを取り戻しに行きたいところではあるが、流石に10kmもバチバチ走るとなると脚へのダメージが計り知れない。。
 
しかし本当の難しさはそこではなくて、20km登ったのに下りが10kmしかないことにある。
 
そう、角度がなのだ。
 
足が絡まりそうになる。転倒でもしようものなら大事故アーンドリタイアは避けられないであろう。
 
しかし・・・ここは攻めるべきだ。
 
美女高原、スキー場とタイム度外視で登ってきたのだから、どこかでこのロスは清算しなければならない。そして、それができるのはこの下り以外ないだろう。
 
「目標タイムまでのロスは約10分・・・行くぞ」

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腹をくくってキロ3分台で走り下る。
 
「ダッ!ダッ!ダッ!ダッ!」
 
「このままいけば5kmで取り戻せる。後はどのくらい貯金できるか・・・」
 
この先に待ち構える中継ポイントではTシャツの替えやエアーサロンパスを準備しているので、そこでのロスは避けられない。この下りでいかに貯金できるかで目標達成できるかが決まるだろう。
 
できる限り体を前傾させ、脚は回転率のみを意識してひたすらバタバタと駆け降りる。
フルマラソンを主体としていそうなランナーの何人かも、ここを勝負どころの1つと考えたのか同様にピッチを上げて、滑落するかの如くもの凄いスピードで駆け降りている。
 
「だよな、俺たち(フルランナー)はここで牽制すべきじゃぁない。ここで攻めなきゃテン(サブテン)は取れねぇよな」
 
この先には大型の中継ポイントがあることを見越して、ここは限界まで攻める
 
キロ3分50・・・40・・・30・・・
 
 
「だあああぁありゃぁあああ!!!」
 

そして・・・
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スキー場、走破。
57km通過。残り43km 。
 

最難関、煩悩を、踏み越えて行く千光寺

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前半の執拗な登りに比べると後半の登りは大したことはない。
 
しかしそれは、コースマップから見ればの話である
 
飛騨を走ったことのあるランナーであれば、口を揃えてこう言うであろう。
 
「千光寺がやべぇ・・・」
 
そう、飛騨高山のコースで最も難関と言われるのがこの千光寺の坂だ。
 
私の知り合いで、飛騨高山のコースを8時間台というとんでもない記録を持っている高畑さん(仮称)ですら、
 
「千光寺はハナから諦めてるんで全歩きでしたよ(笑)」
 
と、言わしめるほどの難所だ。
 
この千光寺を語る上で、必ずしも出てくるのが108段の階段を最後に上るという苦行である。
 

 
はっきり言って、そんな階段なぞ大したことはない。真にキツいのはそこにたどり着くまでのとんでもない勾配の坂(約2km)だ
 
今まで生きてきた中で「坂キツいなぁ」と思った箇所を思い出してほしい。その坂の勾配を2割増して、それが延々と2km続くのが千光寺までの道のりだ。
 
私もこの2kmにいたってはキロ12分程度を予定している。全歩きだ。
 
57km地点の大型中継エイドで名前を呼ばれながら爽やかに立ち去って気分が良いのも束の間。60kmからは・・・千光寺だ。
 
少しずつ近づいてくる最難関に心臓が落ち着かない
 
・・・そして
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「きたか・・・」
 
さぁて、ここが正念場だ。いくぜ
 
前を進むランナーが次々と走るのを止めて千光寺の坂の餌食となっていく。
 
無論、私も例外なくその流れに乗る予定だった・・・はずだが
 
「・・・やってみるか」
 
運命に逆らい、ランナーお一人様、千光寺の坂に挑みます。おいでませ。f:id:komiso:20160621082339j:image



あえなく最初のつづら折りで脱落。その距離、恐らく100m程度であろう。無理はいかんね。
 
ということで無難に歩き出す。しかし大股で極力速く歩く位の抵抗は見せようぞ。
 
ただ歩いているだけなのに心拍数の上がり方がとんでもない。
 
道中あるといわれる五本杉だが、はっきりいって探してる余裕もない。ただただ前を向き歩くことしかできやしない。
 
途中立ち止まって一休み、景色をみることも出来ただろうに
 
だが断る。
 
歩くことしかできない私に今できる最後の抵抗、それは、止まらないことだ。
小さな意地にすがりつき、一歩、また一歩踏み出して寺を目指して歩き出す。
 
そして・・・
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千光寺、制覇
63km通過。残り37km


生きて・・・生きて帰る

千光寺の坂を乗り切った。最難関を超えたところで一安心。もう何も怖いものはないぜ。
 
というのは全くの筋違い。最後まで油断ができないのがこの飛騨高山だ。
 
これまで既に70km近い距離を、登り降りさせられてカラダが無事なはずがない。脚の調子は大丈夫か?疲労感を感じていないか?エネルギーは足りているか?1つ1つ確認するようにペースを落として歩を進める。
 
いや・・・ペースを落とすことでしか・・・走れないのだ。
 
自分でも分かっている。俺にはもうサブテン(キロ6分)ペースを維持するのは無理なことを・・・
 
残り30kmを残して、とてつもない疲労感だ・・・頭がクラクラする。。熱中症か?右手指先に軽い痙攣が起きている・・・まさかハンガーノックか?
 
次々と現れる体の異常に1つ1つ対処をする。
 
エイドを見つけては休憩し、また次のエイドにすがるように走りだす。もはや亡霊のごとく、何も考えることが出来ない・・・
 
「ちくしょう・・・ちくしょう・・・」
 
もはや悔しさをバネにして堪えることも歯を食いしばることも出来ない。
 
全身を激しい倦怠感が襲い、脚も太ももから膝、ふくらはぎ、足の裏に至る全てに痛みを感じる。
 
「ちくしょう・・・暑い・・・頭がクラクラする・・・」
 
山を抜けて日光から守るものが何もない。一体何なんだ。なんて無力なんだ。あぁ辛い・・・早く・・・終・・・わ・・・れ
 
意識が遠のきそうになる中、やっとの思いで74km地点の大型エイドに到着。
 
そして・・・
 
 
就寝
 
 
「・・・っ!?(何分トんでた??)」
 
目が覚めると約20分ほど時間が経過していた。どうやら疲労のあまり寝てしまっていたようだ。
 
しかし、寝たおかげか頭がスッキリしている。疲労感も多少軽くなった。脚は・・・なんとかいけそうだ。よし・・・
 
長い休息からまたコースに復帰する。残り26km。走れないわけがない。俺は・・・いける。
 
 
74km通過。残り26km
 

最終関門、清美の坂のその先に

エイドでたっぷりと休憩させて頂いたおかげで、なんとか走れるまでにカラダは回復した。

 

無理はいけない。しかし、限界ギリギリのラインを見極めて攻めていく。

 

当初の目的である千光寺以外は歩かない。この目標は実のところまだ達成できている。エイドでは長い休憩を取っているものの、コース自体を歩くことは千光寺以外ではしていない。これが最後の俺の意地。どんなに遅くても絶対に俺は歩かん。

 

そして87.4km地点。最後の難所、清見の坂の手前エイドに到着。

 
ここから約5kmほど続く登りのためにしっかりとカラダを休ませつつエネルギーも補給。ふと、隣に座っていたランナーにひと声かけてみる。
 
「最後の坂ですね。これを超えたらゴールまでは楽にいけますよ。がんばりましょうね」
 
なぜ声を掛けたのかは分からないが、自分から声を掛けただけなのに不思議と勇気が湧いてきた。さぁ・・・いくか。
 
ここの坂はこれまでのつづら折りの坂とは違い延々とまっすぐに続く登り坂。
 
ずーーーっと遠くにも登っているランナーが目視できるほど。嫌になってくる。
 
これまでに散々いじめられ続けてもはや坂なんか見たくない。という悲鳴が聞こえてきそうなくらい殆どのランナーがこの清見の坂の餌食となり、走るのを止めていく。私を除いては・・・いや違う、あれは
 
さっき声を掛けたランナーではないか!!
 
あの時の彼が、頑張って走り登っているではないか!!私が声を掛けたからか?いや、元から上りに強いランナーなのか?真実を知るよしはないが、事実として今現在、この周辺で走り登っているのは彼と私のみなのだ。
 
「はは・・・やるじゃないか!負けてらんないな、これは」
 
名も知らない彼に勇気をもらい、私の登るペースも心なしかあがっていく。そして彼に追いついて背中で語ろうぞ。俺についてこい・・・と。
 
中腹地点で彼に追いつき、そこから先行してひたすら走り登る。やはりまだ走っているのは私と彼のみだ。
 
がんばろう、あと少し、がんばろう、あと少し!
 
一歩一歩着実に距離は減っていってる。登れないわけがない、俺は今まで走ってきたんだ。絶対に歩かない。俺は歩くわけにはいかない。
 
呼吸のため口は開いて広角は下がり、情けない顔をして走っていることだろう。しかしこころの中では必死に歯をくいしばって耐えているよ。絶対に負けない。
 
・・・もしや、あれは

 
清見の坂。走破
91km通過。残り9km
 
 

臥龍桜の咲く先に・・・

「フゥゥゥゥーーー・・・」
 
走り切った。俺の意地が勝った。
 
もうサブテンは出来ないけど、不思議と満足感はある。モアベターな走りは出来たということかな。諦めずに意地を貫けたからかな。
 
はは、不思議とカラダが軽いや。ペースもドンドン上がるぞ。
 
キロ5分30・・・5分・・・4分30・・・
 
「お兄ちゃん、余裕だね~!!」
「ありがとうございます」
 
ラスト7km。93kmも走ったのか。もう後30分くらいで終わりだな。あぁ疲れた。ふふ・・・あっはっはっは!!
 
不思議と笑いがこみ上げてくる。
 
あと5km。ははっ、皇居1周じゃないか。ラクショーだよこんなの。あぁ楽しい♪
 
テンションとともにスピードがどんどんあがる。これがランナーズ・ハイなのか、もう笑えてしょうがない。なんて楽しいんだ。さぁ最後だ、笑って格好良くゴールしてやる。
 
少しずつ見たことのある風景が近づいてくる・・・ほんとうにもう終わりなんだ。時刻は15:00をまわっている。早朝3:00から準備をはじめて既に12時間か。俺の飛騨高山はもう終わろうとしているんだな。
 
残り1km
 
さぁアリーナが見えた!ゴールはすぐそこだ
 
沢山の応援が私を祝福してくれる
 
「おかえりなさい~」
「よくがんばったー!」
「すごいよ100kmランナー!!」
 
ありがとう!ありがとう!思わず顔がニヤけてしまう。やばい、もうゴールだぞ、顔作んなきゃ、100km走った記念なんだ、イケメンで写してもらわなきゃ
 
そしてとうとうゴールが・・・
 
 
「ふぐぅ・・・っ・・・」
 
 
なん・・・だ、これ
 
なんか、すげー泣けてくる・・・
 
わかんない、ワケ・・・わかんねーよ、笑え、おれ
 
 
あぁ、そうか・・・終わるんだ
 
 
 
ゴォオオーール!!!
 
 
100km地点通過。残り0km
飛騨高山ウルトラマラソン、走破 
 
 

 

エピローグ

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100kmを走るということは、本当に凄いことなんです。

 

誰にでも出来ることじゃない

 

だからこそ、達成できた全てのランナーは凄いんです。

 

陳腐な表現しか思い浮かばないけど、本当に凄いんです。

 

本当に大変で、本当に辛い思いもするし、何かこれで変われるかというと、別にそんなことはない。次の日には変わらない日常が待ってます。激しい筋肉痛付きで

 

けどね

 

100kmを走り切った人にしか分からない世界があることも又事実です。

 

たった1度きりの人生

 

知らないことがあるよりも、知れるなら知ったほうがいいじゃない。

 

100km走った先に何があるのか・・・それを知ることが出来るのは

 

あなた次第。

 

私はね、見つけましたよ!!

 

はっはっは

 

ありがとうな、臥龍よ

 

又くるわ!!!

 

Fin