第七回飛騨高山ウルトラマラソン|リタイアバスからの生還劇vol.2
続き
たとえ走ってないとはいえ、山登りは気合いと根性だ❗平地とは使う筋肉も違うしペースもゆっくりでいい。ただ走るだけで歩いて登るのとはタイムも大きく変わってくるもんだ。
脚ができていない分、下りで飛ばすことも平地でたんたんと走ることもできないことは分かっていたので、今回のターニングポイントは山登り。山でタイムを補えなければ時間内の完走は無理だと考え、前半の山場である美女高原と飛騨高山スキー場はなんとか歩かずに登りきりました。
最高地点到達、これで40km
・・・きつい
想像以上にきつい。脚の裏がものすごい痛い。膝は前日に購入したマグダビットの少しお高いサポーターがうまく機能してくれているおかげか、痛みはそれほどでもないが、脚全体の筋肉疲労、筋肉痛、脚の裏の痛み、お腹と背中の圧迫痛が気力を奪っていく・・・
とりあえず57km地点の大型エイドで寝よう。寝れば回復するはずだ
一縷の望みにかけて、歯を食いしばり山をかけ降りていく。絶対に寝れば大丈夫だ❗
判断ミスからの状況悪化、そして
50kmを越えたところにある地味だけど厳しい登り坂も歩かずに走破。もはや脚はとうに限界を超えて軽く痙攣してすらいるが、気力だけでなんとか走り続けている。大丈夫、完走できるはず。
この日の天気予報は曇りのち雨。小雨程度でも降ってくれれば気も紛れると思っていたが、予想外にも陽射しが射し込み非常に暑い。かけ水を頭からじゃぶじゃぶかけても汗が吹き出してくる。状況は悪化の一歩を辿っていた。
それでもなんとか57kmの大型エイドへ到着。倒れ込むように更衣室のビニールシートに飛び込み、シューズや靴下、サポーター類をすべて外して眠りにつきました。。。
30分後
目覚めたからだは筋肉が硬直しており、その第一歩は激しい痛みが身体中を駆け巡り、とてもこれからフルマラソンと同じ距離を走れるとは思えない状態でした。
ふと横目にリタイアバスが控えており、何度も乗ろうかと悩みましたがカラダにムチを打って大型エイドを後にしました。俺はやれる。
しかし、大型エイドで圧迫通を生じていたポーチを外したついでに、同じくキツく締めすぎていると感じた膝サポーターも置いてきてしまったことが悲劇の始まりとなるのでした。
リタイアを検討するも
大型エイド後は本コースで最も角度のきつい登り、千光寺の坂が待っている。過去四回この坂は全て歩いているが今年は・・・いや、今年も歩きました。
さすがに千光寺を走って消費する体力は今後の全身持久力に影響すると考え、ここは足慣らしも含めて歩く判断がいいはず。
歩くだけでも厳しい山道ですが、それでもなんとか登りきり、次の大型エイドがある74km地点を目指します。
しかし下りの道中で事件が、今までサポーターをつけていた膝に激しい痛みが襲いかかりました。この部位の痛みは練習でも5km程度のランニングで生じており危惧していたのですが、サポーターを外してしまったことにより痛みが顕著に出始めてしまいました。やばい。
痛みに耐えながらもなんとかたどり着いたエイドでは既に気力を失いつつあり、ここでバスに乗るかどうかを考える時間がほしく、一緒に走っていた仲間には先にいってもらいました。どうするか。。
残り24kmで3時間半。
普通に考えたらいけるが、最後の難関の清見の坂をこの脚で越えられるのか?
さっさとリタイアした方が道端で回収車を待たなくていいんじゃないか?
悩む・・・うぅ・・・ヴっ!
とりあえず・・・走ろう。せめて80kmは越えよう。
実は60kmの時点でガーミンの電池が切れており、距離計測を5km地点表記に頼ることしかできなくなったため精神的にも辛い状況に追い込まれていましたが、せめてキリのいいとこまで、という性格があと少しだけ走る勇気を与えてくれました。じゃぁいくぞ❗
そして大型エイドをあとにして走り出したその直後、一緒に走っていた仲間が引き返してきて、こう一言。
「リタイアバス乗ります、気持ちが折れました」
おいっ!!!(笑)
思わず流されそうになりましたが、気持ちを押さえ込み80kmの表記ポイントを目指します。
リタイアを完全決意!バス乗車・・・だが
その後は痛みと疲労と倦怠感と眠気に耐えながらもヨチヨチ歩きつつ、時には走りつつなんとか距離をこなしていきます。
ガーミンがないため、今自分がどのくらいはしれているのかもわからない状態で。
「給水所まで残り500m」
この看板を1つの目印にしていたのですが、たまに矢印だけの看板があり、そこでも心を折られながらも気力だけで80km、85kmを通過。既に体は限界を越えていました。
そして
清見の坂の手前である87kmのエイドでリタイアを決意しました。
ここから山を登って一時間で93.5kmの最終関門を抜ける必要があり、両膝、両足裏と腹、背中に激しい痛みを伴った状態ではとても無理だと判断した結果です。
あっけないもので、リタイアをスタッフに申告したときは何も感じませんでした。悔しい気持ちも、何も。
練習していないこの体でよく87kmも走ったな、むしろそう自分に言い聞かせて、納得していました。
ちょうどバスが出たばっかりでしばらく乗車して待っててと言われたので、まずは妻に電話してリタイアを報告。そこから仲間たちのランナーズアップデートを確認して検討を祈りました。
モヤッ
何かが気持ちの奥底から涌き出る
本当にいいのか?本当に無理なのか?
諦めることに対して気持ちは納得しているのに、ボロボロのくせに体がそれを拒否する感覚を感じる。
いや無理だ、これ以上走ったら本当に体が壊れる。と言うか既にこの状態でここまで来れたことがありえない。
自分にそう言い聞かせるも・・・なんでまた俺は
シューズの紐を締めているんだ?
「すみません!やっぱ降ります!」
頭で感じるよりも先にとはこの事だろうか、気がついたら既に清見の坂をかけ登っていました。
あと最終関門まで45分