【レース】函館マラソン2016。レースレポートその3【フルマラソン】
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30kmを過ぎてすぐにやってくる跨線橋を超えると、最後の難所
ともえ大橋
がその姿をあらわす。
学生時代に幾度と無く車で行き来していたこの橋に、まさか走って渡ることになるとはなんと感慨深いこと・・・などと余韻にひたる余裕など、全く無い。
全身を急激に襲う疲労感と、鉛のように重い脚
気持ちで前に出ようとするも、抗えるのは上半身のみ
脚が全くついてこない
前をゆくランナーの背中がどんどんと小さくなっていく。
しかし眼前に立ちはだかるともえ大橋の上り坂。海側からやってくる容赦のない海風にただただその背中を目で追うことしか出来ない
ちくしょう
マラソンほど努力が報われるスポーツはないのではないだろうか。その反面、努力無くして結果が出ないのも又然り。
当然の結果。これが必然である。
走る前から分かっていたこの結果。気持ちでただただ先送りにしてきたけれど、そのツケが今まさにやってきただけである。
もはや私に残された武器は何一つなかった
33km通過
通過ラップ 5:05/km(目標ラップより+50秒)
残り9.195km
ようこそ地獄1丁目へ
33km地点にてとうとうキロ5分台までラップが落ち込むと、麻薬のように麻痺させていた負の感覚が体中を包むようにドロッと押し寄せてくる。
もはや体感ではキロ6分より遅く感じる。
後続に1人・・・また1人と抜かれていくたびに、自分の不甲斐なさを突き付けられている気分になる。なんて情けないんだ。
後半走れる脚を養うには当然相応の練習が必要になる。だからこそ、この結果は当然であり分かっていたことである。一丁前に悔しがるなと言いたい。
けどね
悔しいんだよおぉ!!
「ひぃっ・・・ひぃ・・・」
もはや下り坂で踏ん張ることもできないか。
先に見える赤レンガ倉庫、石畳のコースが後半の脚に激しく響く。沿道の応援も最高潮に盛り上がるこのエリアでは雨風も絶好調。
目に力なく笑みが溢れる。
赤レンガを抜けて元町エリア。一人ひとりのゼッケンを読み上げてくれる応援に力をもらい
「グッ」・・・と小さくガッツポーツ
地獄の鬼さん、もう少し待ってよね
35km地点通過
残り7.195km
がごめがごめ
こんなキツイ状況なんて、ひとたび走るのをやめればどんなに楽なことか。
ほら見てご覧、まわりだってボチボチ歩いてる人がいるじゃんよ。
もう目標タイムに到達しないんだから歩いちゃってもいいんじゃないの?楽しちゃってもいいんじゃないの?
違うんだよ
ここは絶対投げちゃダメなんだ。ここで耐える経験ってのは絶対必要になってくるから、だからこそ、ここで楽をしちゃぁダメなんだ。
自問自答。自分に何度も言い聞かせながら泥臭くもレースにしがみつく。
そして35.8km。事前に大きく取り上げられていた「海鮮がごめ丼」が提供されるエイドへ
「よし・・・これ食って・・・歩こう、もう(´▽`lll)」
がごめ丼を目前に、鉄の意志はもろくも崩れ去り完全に満喫するぞモードへ
「つ・・・疲れたーっ!!おねいさん、がごめ丼はどこなのかな?かな??」
まだ人も少ない時間帯。ゆっくり居座って3杯位食べてやろうじゃないの。さぁ下さいな!!
「・・・あれ?・・・ないの?」
そう、このペースのランナーには不要だと判断されたのか、私がついた時間帯にがごめ丼は用意されていなかったのです。
・
・
・
「ぐむむむむむむ・・・(;Д;)」
レースを・・・諦めるな
ツケ
がごめ丼の代わりにスナッフルズのチーズケーキを無理やり口の中に押し込むことで、元を取ろうとした・・・
ことがまずかった。完全にミスディレクション。
口溶け。どうやらそれは1口ずつに与えられる食感のようだ。
まるごと口いっぱいにほうばることでは、残念ながら口溶け食感は得られないらしい。いや違う。36kmもの激走によりどうやら私の口の中の唾液が失われていることが問題か。
溶けること無く口いっぱいに残るチーズケーキが容赦なく私に襲いかかる。
「く・・・苦しい・・・」
全身疲労に加えて、脚の筋肉疲労、そしてチーズケーキによる呼吸障害、さらに手に残るベタツキが私から集中力を奪っていく。
「情けない・・・今の私にはチーズケーキを溶かす唾液すら捻出する力が残されていないのか・・・ちくしょう、ちくしょう・・・」
非常なる決断が迫られていた。
・・・「ぺっ」
さぁ残るはともえ大橋の復路だ。
油断大敵
相も変わらず険しいことで、やまぬ雨に冷めぬ強風、ともえ大橋は最後の最後までランナーたちに厳しい試練を与えたいようだ。
限界ギリギリのところでキロ5分前後を行き来するラップに、これ以上落とさぬように必死にくらいつく私。
このまま行けば、せめてサブ310はキープできそうだ。そんな打算も生まれてくる。
そして苦しみながらもなんとかともえ大橋を突破。ここまでくれば40kmのマークも見えてくる。あとちょっと、あとちょっと
そして跨線橋登りの途中にとうとう40km地点マークとタイマーを捉えた・・・時間は
2:58:37
残り2.195km、キロ5分半でも大丈夫だ。いける!!
自信と安堵に包まれながら40kmの計測を通過した・・・直後に
ビクビクビクビクッ
ヴァアァァァアア!(°Д°;≡°Д°;)
大腿筋の痙攣。まさかのストップを強いられることとなる。
3:48/km
少しでも立とうものなら太ももが攣ってしまう。だめだ。完全に動けん。
ゴールを目の前にしてまさかのストップ。行きたいのにいけない。駄目だ、立てない!!
焦ってマッサージをして立とうとするも、やはりダメだ、痙攣して走れない。やばい・・・やばい、間に合わないこれじゃぁ!!!
コースの脇に座り込んで痙攣が収まるのを待つしかなかった・・・
ラスト2km。本来であればここでスパートを仕掛けるところ。何やってんだ俺は・・・
完全に詰み。レースから除外されたかの如く、ただただ先を行くランナーを見送ることしか出来ず、心の炎が静かに消えかかる・・・
3分ほど経っただろうか・・・「ふぅー、歩くか」と恐る恐る立ち上がってみると、もはや痙攣はない。
その瞬間
メラッ
気づいた時には既に走りだしていた。
後何分だ?どのくらいのペースで行けば間に合うんだ??
だめだ、逆算できない。とにかく走るしかない!スピードを上げろっっ!!!
3分脚を置いたのが功を奏したのか、ウソのように脚が回る。4:30/km・・・4:15/km
・・・4:00/km・・・
3:48/km
行くしかねぇ、このまま押し切る!!!
残り1km!!!
右斜め前方から私を呼ぶ声が聞こえる・・・相棒だ!!!
一足先にハーフを終えた相棒が沿道まで応援に駆けつけてきてくれていたようだ。
きっと最後に並走して引っ張ってくれるつもりだったのだろう。。しかしながら、脚を休めて回復した私のスパートについてこれずにそのまま置き去りに・・・スマン。
沿道からは「10分切れるよ!頑張って!!」との声援が!!
いけるのか?このペースならいけるのか??よし、押し切るぞ、このまま行くぞ!!!
残り700m
テーオーデパートを抜け、沿道の応援がどんどん大きくなっていく!!
少しずつ千代台競技場が近づいてくる
いけるっ!!いけるっっ!!!もう少しだっ!!!粘れ俺!!!!
そして・・・見えた!!
千代台競技場入口、42km地点のマークの下にはタイマーが
・
・
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3:10:15・・・16・・・
嘘やろがっっ!!!!![;゚;Д;゚;]
そして
ゴーーーーール!!!!
Finish Time 3:10:51
終わりに
久しぶりに本気で走ったフルマラソン。
練習量からすると結果はまずまずだったのかもしれませんが、結果よりも苦しみを経験できたことが今回の収穫でした。
この苦しみを経験しておけば、次はもっと上を狙えるから。
あぁ・・・楽しかった。
函館マラソン実行委員の皆様ならびに、ボランティア、沿道の応援の皆様ありがとうございました。
又くるわ!!
以上